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2025/05/30 16:39
miyaco nishioのデザイナー西尾都による旅日記③
「インド旅、夜のサバイバル。」
無事にインドに到着。
空港には、現地コーディネーターで縫製工場の社長でもあるラジさんと、
岡山から同じ時期に来ていた“みやこさん”(なんと同じ名前!)が迎えに来てくれました。
ホテルも手配してくださるという申し出があったけれど、
少しでも費用を抑えたくて自分で予約することに。
しかも今回は夜着だったので、空港近くの安宿を選んだのだけれど…
これが、大きな間違いだった。
到着したホテルは薄暗いロビー。
眠たそうな、でも少し不安になるような表情のインド人が部屋まで案内してくれた。
(今思えば、本当にただ眠かっただけかもしれないけど…)
「安全かな…?」
そんな不安が胸をよぎり、この一夜が旅の最大のピンチとなる。
ラジさんも不安げな様子で、私をホテルに送り届けると、心配そうに帰っていった。
ああ、やっぱりホテルはおまかせしておけばよかったかも……と、ちょっと後悔。
不穏な夜のはじまり。
・トイレの水が流れない。
・天井のシーリングファンが今にも落ちてきそうな勢いで回る。
・外からはガラの悪そうな音楽が大音量で鳴っている。
・背面コードが断線したままのSHARPの液晶テレビ(飾り?)
・逆流してくる排水口
・どう使うのか全くわからないシャワー
・Wi-Fiのパスワードも聞けず…
そして、エクスペディアの写真に、まんまとだまされた。
時刻は夜の23時。
旅の疲れと緊張でぐったりしていたはずなのに、
突然はじまるサバイバルに脳が覚醒する。
幸い、スマホはつながっていた。
トイレの水の流し方を検索し、工夫して乗り切る。
でも、排水口から土が逆流してくるシャワーはレベルが高すぎた。
この日はあきらめて、持参した汗拭きシートでしのぐことに。
そして、疲れすぎていた私は、
爆音を無視して眠ることができた。
朝を迎え、少しだけ度胸がついた。
「やってやったぞ」
この国には、この場所には、この生活がある。
“郷に入っては郷に従え”という言葉が、しっくりきた。
ここまで来た。
私はいま、憧れのインドにいる。
…だけど、まだホテルの小さな窓から外を見つめるだけで精一杯。
それでも、朝になって通りを行き交うたくさんの人の姿に、
少しだけ救われた。
孤独感が和らいだ。
日本からたっぷり持ってきた除菌グッズも、
いずれ使わなくなるなるだろう。
だって、それどころじゃないから。
